モンズJrが助走をつけてそう叫びながら走り出そうとした瞬間、大きなチャイムの音が鳴り響いた。
生徒達は何事も無かったようにクルッと僕たちに背を向け、一目散に校舎に入っていった。
「何なんだ、一体。。」
彼らの後を追うと、そこは日本と比べ物にならない程大きな体育館だった。
500人程いるだろうか、全校生徒がここに集まっているようだった。
前方に見えるステージには先生と思われる男が汗を拭きながらマイクテストを行っていた。
「テステス!」口でそう言っている感じがしたが、マイクが入っていないので聞き取れない。
つるつるのハゲ頭が暑さで茹でタコの様に赤くなっていく。そのうち、きいーーんという機械音と共にようやくその男の声を聞く事ができた。
「ペリスクールにジャパニーズがイン!メソーポタミア、メーン!メメーン!」
何故か僕たちがここに来る事が事前に先生にまでバレているらしかった。
壇上に上がるように手招きをされると、500人の生徒が一斉にこちらを振り向き、僕たちに道をあけるように後ずさりしていく。その間をゆっくりと歩きながら、ついに何かが始まる予感がした。
ステージに上がって何をさせられるのであろうか。
人前に出る事になれていない父さんは既に緊張をしているようだった。母さんから昔聞いたのだが、知人の結婚式の挨拶をしている途中に緊張の余り白目を向いて倒れたらしいのだ。30人程の式だったらしい。そんな父さんを心配しながら僕らはステージに上がった。
「パン、、、パン、、パン、パンパンパン!!!」
と拍手で出迎えられた僕らはそれが始まりの合図である事に気づいた。
モンズJrは、いきなり校門の続きと言わんばかりに助走をつけて
「モンズ ビー アンビシャス発動シーマス!!」
とそのタコ頭に向かっていった。