乙女心と秋の空

エマ「えー!ちゃうわ!これからやっと2人でデートやちゅうのにおっさんさっきからなんやねん!どついたろかほんまに〜」

文明「エマ…どどどうしちゃったの、その関西弁は…」

エマ「どうしたって、何がやねん!!関西弁つこたらあかんの!」

さっきまで父さんに向けられていたはずの怒りが、今度は僕に飛び火しそうな勢いだ…

(訳がわからない…というか父さんは一体彼女の何を知っているんだ?!)と思わず振り返ると、父さんの姿はそこには無く
すでに逃げたようだった。

文明「jesus!なんてこったお父さん!」
もう僕も帰りたい…そう思う文明にエマが更に達者な関西弁でまくしたてる。

エ マ「大体、あんたもなぁ。男のくせにナヨナヨして〜そんなんじゃあかんやろ!もっとシャキッとせぇ!!それに何やねんその短かいズボン!!カリフォルニア でそんなの穿いてるんゲイしか居らんで!あんたホンマはゲイなんちゃうん?ママの知ってる日本男児NORIOは、めっちゃ男らしい言うてたのに!!あんた やっぱりゲイやろ?別に隠すことないやん。」

ゲイしか居ない…?だってこのファッションは…ああ、僕はアイツらにハメられたのか…?
一瞬にしてアイツらのふざけた顔や、色々な疑問が文明の頭の中を駆け巡った。

文明「NORIO…?典雄?って…もしかして僕の叔父、つまりは古のパイセンの事じゃないか?!エマも知っているのか?!」

典雄、通称のりおじさんは文明の父の双子の兄だ。
父の話が本当であれば、のりおじさんが古のパイセンのはずだ…

エマ「うちは小さい頃しか会った事ないけど、ママなら詳しいこと知ってるで。」

文明「君のママに会わせてくれないか?!」

このカリフォルニアの地で、古のパイセンを知る人に話を聞けばこの旅をもっと伝説的で有意義なものにするヒントが貰えるかも知れない…
父はあてにならない。
文明は何でもいいから古のパイセン情報が欲しかった。

エマ「oh my god…!!(ママに会わせろですって…?!やっぱり日本男子ってhotなguyだわ!!)」

エマはもちろんOKよと言うと、さっきまでとは違い上機嫌で家までの道を案内してくれると言う。

文明(よかった、家までは歩いて行ける距離なんだな。しかしエマ、いきなりご機嫌だけど…今度はどうしたんだ…?!)

乙女心を一ミリも分かっていない文明であった。

ーそして
ひたすら歩くこと14日ぐらい経っただろうか。
僕らはやっと、エマの家に辿り着いた。

エマは横で「ママが、カントリーマアムを焼いてくれてるみたい!今日はパーティだわ!」と大はしゃぎしている。
貧弱な文明は、リアクション一つ返せない程に憔悴しきっていた。

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