「お、その亀は…。」
のりおじさんが僕が小脇に抱えた亀を指差し言った。
「良かった、亀ノ子に会ったんだな。」
「うん。これもらったよ。」
「そうかそうか、まぁ水を飲め。喉が渇いただろう。」
倒れたマスターを足で隅に寄せて、のりおじさんがカウンターから水をくれた。
マスターはピクリとも動かない。
「1週間寝ずにホットドッグを焼いていたからな…。悪いことをしたよ。」
不安そうな顔をしていた僕を見ておじさんがフォローした。
「そんなことより、どうしておじさんがここにいるの?」
「もしかすると、お前がここに来るんじゃないかと思ってな。」
「なんで僕を待ってたの?」
「時間がないから結論から言う。リバーサイドがやばい事になっているんだ。」
「そうだ!!さっきマドマーゼルもそう言ってたよ!!どういうことなの!?」
水を一気に飲み干し落ち着いた僕は元気を取戻し、ここに辿り着いた理由を思い出した。
マドマーゼルと話した事が遠い昔のことのようだ。
父さんや榎戸は無事なんだろうか。エマと美智也は…。
「本当に時間がないんだ。詳しい事は移動しながら話す。」
さっきとは違って真剣な面持ちのおじさんは、ふざけているわけではなさそうだ。
「水は飲んだな。よし、行くぞ。」
「うん!」
「おい、あのソースを持っていけ。役に立つかもしれない。」
あのソース…。
僕はそばにあったあのソースを2、3個ひっつかみ、おじさんの後を追いかけsegwayを出た。
ずっと抱えていた疑問をおじさんに問いかけてみる。
「ねぇ!おじさんは本当の本当に古のパイセンなの!!?」
おじさんがぴゅぅっと指笛をした瞬間、
遠くからバサバサと巨大コンドルが現れた。
「それはこれから…お前の目で確かめろ!!!」
華麗に身を翻し巨大コンドルに乗ったおじさんが、僕に手を差し伸べた。
やっぱり…おじさんは本物の……。
背中から夕日を浴びるおじさんが、オレンジ色に輝いていた。