キモサベの気持ちと丹の木。

「裏山の丹の木の下にコケシを封印し、コケシパワーを封印するのじゃ。

2種類の丹の木「ウマ」「サマ」の二本を同じところに植え、その下にコケシとコケシパワーを持ったものを並べるべし。それが出来た人間が今年の優勝者。」

由美「なるほど、そういうことね。」

キモサベ「丹の木・・・。ウマ、サマ・・・。馬丹木と佐間丹木!!!!」

千代ちゃん「やっぱりこの一族には一悶着ありそうね。私、怖いわ。キモサベ、千代を守って!!!!」

千代ちゃんがキモサベを見ると、少し驚いた顔をして目をそらした。

千代ちゃん「キモサベ。。。涙 私が嫌いなのね。」

 

実はキモサベは千代ちゃんが苦手だったのだ。小さな体でいつもいつも自分の後ろをちょこまか付いてくる千代ちゃんが少し面倒だと感じたこともあった。

少し強い口調で話しても、バカな発言をしても、千代ちゃんが笑顔であるほど自分がクソに思えて後ろめたさを感じていたのだ。

でも今は少し違う。
千代ちゃんは自分を頼ってくれている。
千代ちゃんが自分のことを好きなことも知っている。
そしてなぜか今回、千代ちゃんに男らしさを見せたい、そう思っていた。

驚いて目をそらしたのは、そんな自分の気持ちの変化に気づいてしまったからであった。キモサベは千代ちゃんとの結婚生活をイメージし始めた。

 

「何をニヤニヤしとるんじゃ。」
カスババアがキモサベを下から見上げて言った。

キモサベ「お前は本当にカスだな、カスババア!!人の気も知らないで。」

カスババア「お前も本当に気持ち悪いわい。さすがキモサベと言うだけあるのお。」

キモサベ「・・・。」

達也「ちょっと二人ともやめろよ。本当にそっくりだな、お前たち。」

カスババアを見ると薄っすら頬をピンクに染めていた。

キモサベ「うっせー、達也。とりあえずコケシは大女将として、コケシパワーを持った奴を探し出せってことだよな。」

達也「そうさ、意外とこの中にいたりしてな。。」

 

そんな2人のやり取りを聞いていた一人の男が笑みを浮かべながら、その場をこっそり立ち去ろうとしていた。

達也「お、おいお前!どこ行くんだよ!」

そういうとその男は、猛ダッシュで旅館から出て裏山へ

「たあああああああああ!!!!!」と言いながら登っていった。