言い伝えの男。ここにありき男。

美智也「その拳は大事な時にとっとけ。その怒りも忘れんな!」

!?

上からすぎる発言に文明は逆に冷静になった。

文明「美智也!おめーってやつぁーいつもそうだ!俺をはめにはめやがる!」

しかし、気づいたら涙が溢れていた。

ボロボロの青いジャージに濃ゆい点々模様が増えていく。

文明「泣いてなんかないぞ、目にゴミが入っただけだ!!」

美智也「・・・文明、これには訳があって!俺だけ残った日あったろ!」

文明「おっと!汽車の時刻だ!またな」

泣きながら、猛ダッシュで立ち去った。

美智也「文明!!その先は砂漠だぞ!」

母さん「その者、青き衣を纏いて、金色の野に降り立つべし、失われし大地との絆を結びあおき清浄の地へ導かん」

!?

エマ「その言葉!!!!たしか、風の谷のナウシカさんの大ババ様が言い放った古の言葉!!!」

母さん「古の古文書の予言は当たってたようね。」

美智也「亀、武者震き、筋たちに。青き草原の絆をつかさどる。」

母さん「その通りよ」

美智也「亀 あらんことを祈りき 者、者の友を裁こうとして処す。」

母さん「なるほどね」

エマ「その言い伝えが本当ならとんでもなき、シーズンになりそうね。」

美智也「文明、、、いや目祖歩田宮!!いってこい!パイセン オブ レジェントを超えてこい!」

三人は拳を天高く突き上げた。

(BGM yah yah yah)



ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ

もう、10時間は走っただろうか。疲れてはいるものの、この修学旅行中に基本体力が上がっている。

文明「ハァ、ハァ、もうここかどこかもわからない!!!」

ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザク!!!!

ん?なんだこれ。

石につまづいたみたいだ。

よく見ると石板だった。

「文字が彫ってあるな。」

「W,A,R,E,P,A,I,S,E,N,N,A,R,I」

ん?ワレ パイセンナリ!!

この石板は古のパイセンの手がかりなのかも!まだ続きがある!!

「WARE KOETAKUBA MINADE KAME NI HIT SASEYO 」

ワレ コエタクバ ミナデ カメ ニ ヒットサセヨ

意味が分からない。

しかし、とても難しくとんでもないことをしないといけないと言うことは感じ取った。

偶然とはいえ、古のパイセンを超えるチャンスを手に入れたんだ!やってやろうじゃねーか!

でも、どうすればいい。

石板といえば、考古学だが、考古学の授業いつも寝ていたしな。。。

ワレ コエタクバ ミナデ カメ ニ ヒットサセヨ

ワレ コエタクバ ミナデ カメ ニ ヒットサセヨ

「みなで!!!そうか!仲間を集めよう!!」

この修学旅行、何日たったか分からないが、リバーサイドに戻る頃はもう後半のはず!

後半は確か、ほぼ自由時間!!!

まずは隣のクラスの考古学(こうふる まなぶ)に声をかけよう。

そうと決まりゃ、リバーサイドに直行だ!!!

文明は見落としていた。石板には裏にもまだ続きがあることを。

鬼が出るか蛇が出るか。。。それとも亀が出るか。

新事実

文明「美智也じゃないか!どうしてここに…」

エマ「あら美智也!心配してたのよ、今日帰ってくるなら連絡くらいしてよ。寂しかったわ(英語)」

美智也「ごめんよエマ。ママに連絡したところでちょうどコンドルに携帯を取られちゃってね。カルフォルニアならよくあることだろう?(英語)」

エマ「そうだったの、美智也が無事でなによりだわ(英語)」

いきなり現れた美智也がまるで以前からの顔見知りのようにエマと英語で話している。
いったいどうなっている。

美智也「エマが言ってた最近できた日本人の友達って、文明のことだったのか!」

文明「…え?」

美智也「英語は全然喋れないけどとてもイイやつだって聞いてて。まさか文明だとは思わなかったよ!本当に久し振りだね」

文明「…え?友達?いや、あ、美智也もエマと知り合いだったのかい?驚いたな…」

美智也「いやいや、エマとはビーチで知り合ってね。付き合ってるんだ、まさかカルフォルニアで彼女ができるとは思わなかったよ。こんなことが起こるなんて英語が得意で本当によかった。
そういえば、目指していたペリスには無事行けたのかい?」

文明「…!?。彼女?…、え?…なんだって?あ、ペリス?
あぁ、ペリスでは本当に大変だったよ…」

文明は混乱していた。
美智也とエマが付き合っているだって?どういうことだ!エマと付き合っているのは自分のはず…。

いや、よく考えてみるとエマから彼氏だとかボーイフレンドだとか言われたことはないし、英語だから8割分かんない。一大決心して伝えた告白の言葉も身振り手振りとほぼ日本語。もしや伝わっていない…!?
それに、ビーチでの父さんの意味深なセリフとあの表情。そういうことだったのか。そうなるとあの関西弁も…。

そうだ、きらきらアフロだ!
笑福亭鶴瓶と松嶋尚美の2人が出演しているトークバラエティ番組『きらきらアフロ』。
美智也はあれの大ファンでたしかDVD-BOXを持っている。ふたりで観て、あの関西弁をマスターしたのか。
ちきしょう、こんなことがあってたまるか、これは穏やかではないぞ!

本来ならば久し振りにあった友人らしくちょっと談笑して、すぐにエマのお母さんに古のパイセンについて話を訊きに行かなければいけないのに。一発殴らせてくれと言いたい!こんな時どうすればいい、どうすればいいんだ、教えてくれ父さん!

美智也の前で拳を握りしめ立ち尽くす文明だった。

再会

カリフォルニアの太陽がじりじりと照りつける中を歩き続けた僕は、ウィンナーパーティーによって太った身体が完全に元通りになっていた。
むしろ色黒になりすっかり夏のオトコだ。弱々しい動きとげっそりとした顔は別として。

「マミー!アイムホーム!」

エマがテンション高くドアを開けると、お菓子が焼ける甘い香りがして少し元気になった。
奥の方からパタパタと駆け寄ってきた女性はエマと同じ青い目、美しいストレートヘアーだ。
少しふくよかな、しかしとても綺麗なその女性はエマを見るなり笑顔でエマに抱きついた。

「エマ!ハーイ!」

二人は英語でペラペラと話したあと、エマのお母さんが今存在に気づいたかのように僕を見る。

「ハ、ハロー。」

彼女の母親に初めて会う場面というのはたいてい緊張するものなのだが
歩き続けて日にちの感覚すらないほど疲れていた僕は、出来る限り背筋を正して挨拶するのがやっとだった。

「oh!ハーイ!」
「ママ、文明よ。ママに会いたいって言うから連れてきたの!!」
「ハハハ!スゴク疲れているわね、入って入って!何か食べないと死んじゃいそう!」

エマに背中を押されてリビングのテーブルに腰掛けると、エマの母親がキッチンから何かを持ってきた。
目の前に出されたのは、手作りのレモネードと、ホットドッグ。

またウィンナーか…。

うんざりするほど食べたホットドッグは、一口食べるとやっぱりうまい。
エマは隣で母親特製のカントリーマアムをつまみ食いしていた。
食べ終えてすっかり元気になった僕は、エマの母親に改めて自己紹介をしてさっそく本題に迫った。

「のりおじさんの事を聞きたくて来ました。あやふやだけど、多分修学旅行は残り半分くらいになっているはずです。
ペリスクールの四天王との頭脳戦にはなんとか勝利したけど、僕達はこれからどうすべきなのか、手がかりが全くないんです。」

「ねぇママ、NORIOについて彼に何か教えてあげてよ!」

「OKOK。そう急がなくても教えてあげるわよ。でも話は彼が帰ってきてからにしましょう。」

「彼‥?」

その“彼”は1時間ほどで帰ってくるらしい。
それまでエマの部屋で彼女の子供の頃の写真を見ながら過ごすことにした。
彼女は子供の頃から天使だった。

「ただいま戻りました。」

遠くから微かに声が聞こえた。“彼”が帰ってきたのかもしれない。
とんとんと階段を登る音がして、ガチャっとドアが開いた。

「お前‥!!なんでこんなところに!??」

思ってもみなかった人物を目の前にし、思わず立ち上がり大声を上げた。

「久しぶりだな、文明!しばらく見ないうちに、夏のオトコになりやがって!!」

美智也が笑顔で立っていた。

乙女心と秋の空

エマ「えー!ちゃうわ!これからやっと2人でデートやちゅうのにおっさんさっきからなんやねん!どついたろかほんまに〜」

文明「エマ…どどどうしちゃったの、その関西弁は…」

エマ「どうしたって、何がやねん!!関西弁つこたらあかんの!」

さっきまで父さんに向けられていたはずの怒りが、今度は僕に飛び火しそうな勢いだ…

(訳がわからない…というか父さんは一体彼女の何を知っているんだ?!)と思わず振り返ると、父さんの姿はそこには無く
すでに逃げたようだった。

文明「jesus!なんてこったお父さん!」
もう僕も帰りたい…そう思う文明にエマが更に達者な関西弁でまくしたてる。

エ マ「大体、あんたもなぁ。男のくせにナヨナヨして〜そんなんじゃあかんやろ!もっとシャキッとせぇ!!それに何やねんその短かいズボン!!カリフォルニア でそんなの穿いてるんゲイしか居らんで!あんたホンマはゲイなんちゃうん?ママの知ってる日本男児NORIOは、めっちゃ男らしい言うてたのに!!あんた やっぱりゲイやろ?別に隠すことないやん。」

ゲイしか居ない…?だってこのファッションは…ああ、僕はアイツらにハメられたのか…?
一瞬にしてアイツらのふざけた顔や、色々な疑問が文明の頭の中を駆け巡った。

文明「NORIO…?典雄?って…もしかして僕の叔父、つまりは古のパイセンの事じゃないか?!エマも知っているのか?!」

典雄、通称のりおじさんは文明の父の双子の兄だ。
父の話が本当であれば、のりおじさんが古のパイセンのはずだ…

エマ「うちは小さい頃しか会った事ないけど、ママなら詳しいこと知ってるで。」

文明「君のママに会わせてくれないか?!」

このカリフォルニアの地で、古のパイセンを知る人に話を聞けばこの旅をもっと伝説的で有意義なものにするヒントが貰えるかも知れない…
父はあてにならない。
文明は何でもいいから古のパイセン情報が欲しかった。

エマ「oh my god…!!(ママに会わせろですって…?!やっぱり日本男子ってhotなguyだわ!!)」

エマはもちろんOKよと言うと、さっきまでとは違い上機嫌で家までの道を案内してくれると言う。

文明(よかった、家までは歩いて行ける距離なんだな。しかしエマ、いきなりご機嫌だけど…今度はどうしたんだ…?!)

乙女心を一ミリも分かっていない文明であった。

ーそして
ひたすら歩くこと14日ぐらい経っただろうか。
僕らはやっと、エマの家に辿り着いた。

エマは横で「ママが、カントリーマアムを焼いてくれてるみたい!今日はパーティだわ!」と大はしゃぎしている。
貧弱な文明は、リアクション一つ返せない程に憔悴しきっていた。

謎の関西弁。

ウィナーによるウィンナーパーティを終えると僕らは丸々と太っていた。
アメリカンサイズのウィンナーとその美味しさに誰もが心を奪われ過ぎていた。

「文明、ジョイズブートキャンプを一緒にはじめないか?」
父さんは見るも無惨に10キロ程太っていた。

「僕はちょっと今から用事があるからビーチに行ってくるよ。」

文明は頭にサングラスを乗せてモンズJrにもらったアロハシャツ+膝上20センチのショートパンツを履いて出かけていった。
カリフォルニアの男達の間で今一番ホットな格好らしい。

慣れない口笛を吹きながらビーチに着くと青い目をした可愛い女の子がたっていた。

「トテモスローね。ニッポンのオトコ、トテモスローね。」

「エマ、お待たせ!ソーリーソーリー」

ビーチパーティで出会ったエマと文明はウィンナーパーティの間に意気投合し、付き合うようになっていた。

文明の初恋だった。青い目、綺麗なストレートの髪、すらっと伸びた手足。
話は右から左に耳を通り、文明はその完璧な容姿に目を奪われていた。

すると、突然エマの顔色がかわった。

「オーノー!オーマイが!!」
エマが文明の後ろを指差した先には、岩陰から出る薄汚いケツが!!!父さんだ。。。

「バレちゃ仕方がない。お前が心配だったんだ。」
岩陰からひょっこりと父さんが顔を出した。

「父さん、僕だってもう年頃の男さ。彼女だって作ってもいいだろう?」

「ああ、いいさ。何人でもいいさ。でもな、文明。その子だけはダメなんだ。」
父さんがうつむきながらそう言った。

「おい、おっさん。何を言うつもりなんや?」
日本語が話せないはずのエマが、突然こてこての関西弁を話し始めた。

「えーーー!!!」
文明が尻もちを付き、父さんは一歩後ずさった。

ウィ!最高ノ仲間

モンズJrは怒っていた。
みんなにはバレないようこっそりと。

モンズJr(・・・モンズビーアンビシャスッテ言ッテイテターノニ!バカ!)

そう、頭脳戦でモンズビーアンビシャスが発動しなかったことに怒っているのだった。

モンズJrは、あえてジョイのジョイズブートキャンプに乗ったフリをしみんなを筋トレ漬けにしすることで、頭脳線のことを忘れさせ自分が大活躍する計画を立てていた。
モンズJrは、こっそり深夜にお勉強をしていたのである。

そんなことを一生懸命やっていたにも関わらず
モンズはマジカルバナナの並びでポジショニングをミスり、活躍ゼロ。

しかも、モンズJrも、
”まばゆい光”と言ったら”おまめ”と思っていたため
みんなに何も言い出せずにいた。

・・・・・

このままではこの先、みんなに迷惑をかけてしまう!
モンズJrはこのモヤモヤした気持ちを踏み台にして
次こそアンビシャスしてやると誓った。

怒りを自分に向け、感情をコントロールする!
それが今の自分をさらにステップアップさせる!
そう言い聞かせモンズJrは感情コントロールを開始した!

モンズJr「ハメヨウトシテ!ハメラレタ!ソレガ、モンズJr!」
モンズJr「ハメヨウトシテ!ハメラレタ!ソレガ、モンズJr!」

カリフォルニアの夜にモンズJrの声が響いた。

・・・・・

その頃ホテルリバーサイドの文明たちの部屋では、
ウインナーパーティーが開催され大いに盛り上がっていた。

ガヤガヤガヤ

文明「ウィンナー!最高だな!」
みんな「ウィ!!」

文明「ウィンナー!どんどん食べようぜ!」
みんな「ウィ!!」

ガヤガヤガヤ・・・

ガチャリ。扉が開く音がした。
モンズJrだ。

モンズJr「・・・ウィンナーマダアルカイ?」
みんな「ああ!もちろんさ!待っていたぞモンズJr!」

文明「ん?どうしたモンズJr?泣いているのか?」
モンズJr「グスン・・・ウィンナー汁ガ目二入ッタダケサ!」

モンズJr「サア!パーティーヲ続ケヨーゼ!」
みんな「ウィーーー!!」

モンズJr(オマエラホントウニ最高ノ仲間ダゼ!!)

ウィンナーパーティーはその日から10日間続いた・・・。

勝負のはじまり、そして。。。

決戦当日の朝、僕らはペリスクールの前で
対戦相手の伝説の守護者ペリスクール四天王と向き合っていた。

両チーム、対戦相手のメンバーの顔をまじまじと眺めている。

そして、頭脳戦の内容が発表された。

レフェリーは今日のこの勝負で引退を発表した伝説のレフェリー、チュイモネルスナフキン。

この男の判定はだれにも止められない。。。

いや、1つ止めれる方法があるとすれば孫の孫(ソン)のおねだりだ!孫の孫(ソン)だけはどうしても甘やかしてしまう。

幸運なことに孫のソンは今日は来ていない。

ということは今日、この男の判定はだれも止められない。

いや、孫の孫(ソン)が途中で応援にきたら話はべつ。

しかし、孫の孫(ソン)は今japanに家族旅行へ出かけている。

ということは今日、この男の判定はだれにも止めれられない。

だれもが納得する判定ができる!安心だ!

チュイモネルスナフキン「今から始まる、頭脳戦のルールを発表します!」

ザワザワ ザワザワ

チュイモネルスナフキン「今回は。。。。」

ザワザワ ザワザワ ザワワ

チュイモネルスナフキン「マジコーバナナで勝負せよ!!!!!」

大歓声が起こった!

ペリスクール四天王にとって「マジコーバナナ」は十八番の頭脳戦である。

チュイモネルスナフキンの説明は続いた。

なるほど、チームで交互に答えて、一発勝負か。

文明「どういう順番で戦おうか。。。。」

そうこうしていると

マジカルバナナの手拍子が響き始めた!

父「く!アウェーの洗礼ってやつだな!自己紹介もまだなのに、名前を覚える必要もないってことか!」

どうやらペリスクール四天王が先行みたいだ!

どんなキラーパスをしてくるのか。。。。

とっさに並んだ順番は父、ジョイ、榎戸、モンズjr、文明だった。

四天王1人目「マジカルバナナ♪バナナと言ったら、やさしい!」

!?

文明(たしかにバナナは体に優しいフルーツ!!!)

父「優しいと言ったら、バファリン」

四天王2人目「バファリンと言ったら、精神的にも楽になる」

ジョイ「精神的にも楽になると言ったら、保険」

四天王3人目「保険と言ったら、未来の家族、自分への思いやり」

文明(こいつら!!!十八番なだけはある!榎戸、大丈夫か!!?)

榎戸「未来の家族、自分への思いやりと言ったら、まばゆい光」

大歓声がおこった!!

文明(今のはいいのか!!?)

どうやらいつも四天王3人目のキラーワードで挑戦者は答えれないみたいだ。

四天王4人目トンチマスター・キッボン・ニスノス「まばゆい光と言ったら、おまめ」

ピピー!!!!!!

チュイモネルスナフキンの笛が鳴り響いた。

チュイモネルスナフキン「おまめ!!!アウト!!!!ウィナー豆高!!!!!」

わーーー!!!!!!

「ウィナーにはウインナーを!」
「ウィナーにはウインナーを!」
「ウィナーにはウインナーを!」

大歓声が5人をつつんだ。

5人は勝利をつかんだ!!!