リバーサイドにむかう巨大コンドルの上でふと思った。
じつは文明は、古のパイセンことのりおじさんに直接会うのは初めてなのだ。
毎年正月にSkypeで話すくらいで、どこに住んでいるのかも知らない。尊敬するパイセンを前にして聞きたい事は山程ある。
思 い返してみると、これまでの旅は予期せぬハプニングばかりだった。仲間の協力と時の運でなんとか乗り越えてこれたが、これから向かうリバーサイドにはどん な試練が待ち受けているのだろうか。亀ノ子から貰った言葉の意味も全くわからないし、ペリス以来仲間たちはどうしているんだろうか。長い砂漠の旅のせいで 忘れてしまっていた。
こんな旅をのりおじさんはたった一人で(多分)乗り越えてきたのか。文明は自分の甘さを反省した。
文明「おじさん…」
パイセン「ん、なんだ?」
文明「おじさんはうちの学校や、このカルフォルニアで最強の名を欲しいままにしているけど、僕はおじさんを超えたいんだ。僕も最強になれるかな?」
パイセン「文明、おじさんが最強だって?それは違うぞ、俺はただの馬鹿だ!馬鹿と最強は紙一重だ!」
文明「…真理!おじさんはやっぱしすごいよ!」
パイセン「ハッハッハ。そうか! そういや、もうペリスには行ったか?」
文明「ああ行ったよ。壮絶な頭脳戦の末、僕たちが勝利したさ。それも仲間たちのおかげだよ。」
パイセン「いいぞ、それでこそ男だ。仲間は大切な事を教えてくれるからな! ペリスか…懐かしい、俺もカルフォルニアにきて随分経つなあ。」
文明「おじさんは何でまたカルフォルニアにきたの?荷物ゼロで修学旅行を達成したって伝説は聞いてるけど。」
パイセン「ん?それは少し違うな!まだ俺は帰ってねえ。」
文明「…!?」
パ イセン「俺は己の強さを確かめたくてペリスや砂漠で戦い続けた。一心不乱にな。確信通り俺は半端なく強かったんだ。ただそんな事をしてはぐれた俺に気づか ず、豆高の皆んなは日本に帰っちまった。そして俺はやっと気付いたんだ。大切なのは仲間だ!ってな。笑っちまうだろ!」
文明「…!?(笑えないよ!)」
パイセン「お前はもうそれに気づいたじゃないか!これからどんな試練が訪れようと心配ねえ!」
巨大コンドル「ギャー!ギャー!」
パイセン「ハッハッハ。こいつもそう言ってるぜ!」
文明は言葉が出なかった。古のパイセンことのりおじさんがここまで最強(馬鹿)だったとは。今までのリスペクトに少し陰りがみえたが、それでもなお文明は心の奥底からふつふつと沸き立つ闘争心を抑えきれずにいた。
文明「(これからどんな困難が待ち受けていようとも、この旅でおじさんを超え、古のパイセンに僕はなる!!)」
文明はそう心に強く誓った。
ただ、お土産も買ったし修学旅行が終わったら普通に母と妹の元に帰りたいな、とも思った。
ドスモッコス!僕たちのパラレル修学旅行! 『完』
ご愛読ありがとうございました!