「きゃーーん!」
部屋に戻る途中だった私達はすぐさま引き返し女将のもとへ走った。
「女将!!?」
付近をくまなく見て回ったが、女将の姿はどこにも無い。
あの巨大なこけしとともに居なくなっていた。
わずか数分の出来事だ。
一体どうやって…
それにさっきの悲鳴…女将は無事なのだろうか。
今この旅館で何が起こっているのか
何も分からず皆呆然と立ち尽くしていた。
「のろわれしこけし」
「きゃ!!なに!?!誰?!」
聞き慣れない声に驚いて後を振り向くと
バスで私の隣に座っていたあの男がいた
達也「のろわれしこけしだって?お前なんか知ってるのか…?」
謎の男「……」
謎の男は無言でゆっくり前を指さした
男が指す方向を見ると、何やら奥の部屋へ向かって点々と小さな丸い何かが落ちている。
すかさずキモサベが駆け寄りしゃがみ込んだ。
その丸い何かをつまんで眺めている。彼は極度の近視だ。
キモサベ「パクッ…!…んっ…ここ、これは……!?!」
千代「きゃーーーー!いやーー!!キモサベだめぇー!!」
潔癖症の千代は床に落ちたものを口に入れるというキモサベの奇行を目の当たりにし
あまりのショックに再び白目を剥きながら倒れ込んだ。
達也「おい!!大丈夫か?!キモサベ!!」
拓也「ちょまてよ!!」
皆慌ててキモサベの元へ駆け寄る。
キモサベ「こっ、これは……!」