「今の‥なに??」
温泉への準備をしていた女子4人が一斉に顔を上げ見合わせた。
「叫び声だよね?なんだろう?」
「こわいよう〜!!!」
千夜ちゃんが泣きそうになりながら、チワワのごとく震えている。
「ちょっと見てくるね。」
私がドアの方へ向かうと由美が私も行く、と立ち上がった。
ドアを開けると狭い廊下に男子2人が並んでいた。
194cmあるキモサベのせいで廊下の向こう側がどうなっているかはよく分からない。
「なにかあったの?」
列に声をかけると手前にいた保田が振り返った。
「よくわからないよ〜」
どうやらキモサベが大きすぎて列が進まないらしい。
「横になって進むんだよ!あんたでかいんだから。」
「そっかー!横かー!進める!」
トリッパー由美のアドバイスにより列が徐々に前に進んだ。
廊下を抜け広場に出ると、既に達也とカメラを構えた撮英がいた。
青ざめた顔で座り込んだ大女将さん、それを支える仲居さん、そして・・
こけし・・??
こけしがあった。
あった、というよりも、倒れていた。
見た目はよく見る普通のこけし。ただ、私の知るこけしが20センチ弱なのに対してこのこけしは大きかった。
キモサベの身長より少し大きい、2メートル位だろうか。
そのこけしがまっぷたつに割れていた。
中は空洞になっているようで、巻物のような、紙が丸まったものが中から出ていた。
「なんてことなの・・・!!」
大女将さんが両手で目を覆いながらつぶやいた。