「・・・と、そういうことじゃ。」
料理長が話すところによると、
この宿のある村では、コケシ祭りという名の恐ろしい祭りがあるとのこと。
50年に一度、巨大こけしの封印が解け、
巨大こけしに封印されていた半端ないやつが解放されてしまうのだという。
そしてその半端ないやつを捕まえた者がコケシ祭りの優勝者になる。
その者にはコケシパワーが与えられるのだ。
だが、そのパワーが半端ないため、優勝者が決まると同時に
村人総出で優勝者を巨大こけしに封印する「封印祭り」が始まるという。
つまり50年前の優勝者を捕まえたあとに、その年の優勝者を捕まえないといけない。
だがコケシパワーを手に入れた者のチカラは半端ないもの。
ちから2倍、タフさ2倍、すばやさ2倍、頭脳は大人。
「・・・最強ね。」
私はビビっていた。
しかしコケシパワーの呪いで、こけし村から出ることはできなくなるらしい。
それでもその最強の力をもとめて村人はこれまでも祭りに全力で参加してきた。
そして50年前の優勝者は大女将幼なじみで片思いの相手だった、
あこがれの男性、馬丹木一(ウマタンキハジメ)さんなのだという。
「まあ、村の外の人間は気にしなくていいじゃ!」
「旅を楽しむといいじゃ!」
料理長はよぼよぼと厨房に戻っていった。
「そうよ!」
ファンタスティックスティポーのメンバーが振り返ると大女将は鋭い目つきでこちらを見ていた。
「この勝負は、アタシとハジメさんの勝負なの!手出し無用よ!」
「へ、へい!!」
すかさずキモサベが返事をした。
大女将はにっこりした表情に戻り、
ファンタスティックスティポーのメンバーに深くお辞儀をするとその場をあとにした。
「・・・一応普通に旅行は楽しめそうだな!」
達也が言うと、みんな不安ながらもうなずき、男女それぞれの部屋に戻っていく。
その時だった、
「きゃーーん!!!!!!」
大女将の叫び声がきこえた。