はじまりの朝。

「いい天気だー!」

待ちに待った旅行当日は文句なしの晴天だった。
数日前の天気予報で分かりきっていたことではあったが
窓から見える完璧な青空に思わず笑顔で背伸びをした。
セットしたアラームよりも早く目覚め、化粧やら着替えやらと身支度を進めていく。

大学が夏休みに入って1ヶ月ほど過ぎた頃、
サークルの仲良しメンバーで夏の締めくくりに旅行へ行こうという話になった。
じっくり話し合う時間もなく、人気のプランは空きがないため今回はお手軽なバスツアー。
避暑地への2泊3日の温泉旅行だ。

ギリギリの申し込みでも間に合った事からあまり人気のないツアーのようだったが
宿泊先は有名な情緒ある温泉街の中にあるらしく
着いたら浴衣で散歩したいねなんて皆で盛り上がっていた。

9月ももう半ば。
登りきった太陽のもと、ボストンバッグを片手に
集合場所の駅までの道のりを十数分歩くだけでじんわりと汗をかく。
あと数時間後には涼しい場所でかき氷を食べるんだ…
これから向かう避暑地に思いを馳せていると見覚えのある顔が見えて手を振った。

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