勝利の予感

榎戸があのソースを使ったらしい。
パッケージに悪魔が描かれたソースだ。
すでに榎戸の目はうつろで額からは汗が噴き出し、手も震えていてる。

榎戸という男は後先を考えない。昔からそうだ。それがいい方に転ぶこともあるのだが、
だいたいはやらかす。
今回もこの賞金のかかった大勝負で完全にやらかしている…
と、そんな榎戸に気を取られている場合ではない。
食べ始めてもうすぐ10分だ。
ついさっきまでパーティー気分ではしゃいでいたジョイとモンズJrも少しペースダウンしてきている。

「つらいか、文明。こんな時は頭を使え!正攻法で勝とうと思うな!」

一番ペースダウンしている父さんが何か言っている。
だが確かにそうだ。今のままでは完食は程遠い。
何かいい手はないか…
そうだ、こんな時美智也ならどうするだろうか。
いつも機転を利かせピンチをチャンスに変える美智也なら。
「…そうか」
文明は一つの恐ろしいアイディアが頭に浮かんだ。
「これならいけるかもしれない!みんな聞いてくれ!」

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