エリートとロリータ

振り返ると、バスの入り口あたりに立っている色白長身の男子と目があった。

清三兵衛(きよさべえ)だ。

清三兵衛は、由緒正しい家の主審で三男なのだが、その名前のせいでだいぶ苦労してきたらしい。

私たちのサークルに入ってからは、気難しい性格のくせに、実は非常に優しいやつということで、キモサベと呼ばれている。
サークル内でもそこそこの地位とポジションを手に入れているいい奴である。

清三兵衛は、目が合ったことに気がつくと、口だけニヤリとさせながら、片手をあげてあいさつをしてきた。

私もおはよーと手を振って席に着いた。

(やったー!キモサベゲット!)

サークル内で、清三兵衛のニヤリを見るとその人に幸運が舞い込むという噂があった。

座席に着くと、達也が話しかけてきた。

「なあ、もう8人全員来てるんだっけ?」
「うん、きてるよー。」
「でも7人しかいないような…。」
「え~?あ、たぶん千夜ちゃんだよ。」
「あ、ああそうか。」

私は振り返って、

「千夜ちゃーん!」
「は~い!いるよ~」
「やっぱりいたー!おはようね!」
「う~ん!おはよ~」

清三兵衛の横、窓側の席に座っているようだ。
身長146cm、みんなのかわいい妹、千夜ちゃん。サークル外、大学外からも、たくさんのロリコン男子女子が千夜ちゃんを一目見ようと足を運んでくるのだ。

全員揃っていることを確認し、さあ出発というときだった。

「オイラも乗せてくれねーか・・・?」

バスの入り口から一人の男が入ってきたのだった。

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